Artist: Kanye West
Album: The College Dropout
Song Title: Get Em High
概要
本作は、Kanye Westのデビューアルバム『The College Dropout』(2004年)に収録された、当時のアングラ/コンシャス・ヒップホップを代表するMCであるTalib KweliとCommonをフィーチャーした一曲だ。前半はカニエが女の子を口説くためにTalib Kweliの名前を勝手に使い、ネットの出会い系サイト(BlackPlanet)で知り合った女子大生に電話をかけるというコミカルなストーリーテリングが展開される。後半ではCommonがマイクを引き継ぎ、商業主義に走って中身のない音楽を作るフェイクなラッパーたちを痛烈に批判する。当時のメインストリーム(商業的)とアンダーグラウンド(技巧的・思想的)の橋渡し役を担っていたKanyeの立ち位置と、軽妙なユーモアが光るバンガー・トラックである。
和訳
[Intro: Kanye West]
Uh-uh, I'm tryna catch the beat
あー、ビートを掴もうとしてるんだ。
Uh, I'm tryna catch the beat
あー、ビートを掴もうとしてる。
I'm tryna catch the beat, uh-uh, uh-uh
ビートを掴もうとしてるんだ。
I'm tryna catch the beat
ビートを掴もうとしてる。
[Chorus: Kanye West]
N-now, th-th-throw your motherfuckin' hands
さあ、そのクソ両手を上に挙げな。
Get 'em high
高く挙げろ。
※high=「手を高く挙げる」ことと「大麻でハイになる」ことのダブルミーニング。
All the girls pass the weed to your motherfuckin' man
女の子たちは全員、隣の野郎にハッパを回しな。
Get 'em high
ハイにさせろ。
Now I ain't never tell you to put down your hands
俺はまだ「手を下ろせ」なんて一言も言ってねえぞ。
Keep 'em high
挙げたままでいな。
And if you're losin' your high, then smoke again
もしハイが冷めてきたなら、もう一回吸いな。
Keep 'em high (Now, now, now, now)
ハイなままでいな(さあ、さあ)。
[Verse 1: Kanye West]
My flow is in the pocket like wallets, I got the bounce like hydraulics
俺のフロウは財布みたいにポケットに収まってるし、ハイドロみたいにバウンスするぜ。
※in the pocket=リズムに完璧に乗っている状態。hydraulics=ローライダー(改造車)の車高を上下にバウンスさせる油圧システムのこと。
I can't call it, I got the swerve like alcoholics
予測不能だ、俺はアル中みたいにフラフラと(スワーブして)進むんだ。
※swerve=「車線変更する」「予測不能な動きをする」こと。酔っ払いの千鳥足と、ラップの変則的なフロウを掛けている。
My freshman year, I was going through hella problems
大学1年の時、俺はマジでたくさんの問題を抱えてた。
'Till I built up the nerve to drop my ass up out of college
大学を中退する(ドロップ・アウトする)度胸がつくまでな。
My teacher said I's a loser, I told her, "Why don't you kill me?
先生は俺を負け犬だって言った。だから俺はこう言ってやったよ。「いっそ殺せば?」ってな。
I give a fuck if you fail me, I'm gonna follow
俺に落第点をつけようが知ったこっちゃねえ、俺は俺の心に従うだけさ。
My heart", and if you follow the charts
そして、もしお前らがチャートや。
Or the plaques or the stacks, you ain't gotta guess who's back, you see?
プラチナの盾や札束(スタック)を追ってるなら、誰が戻ってきたか推測する必要なんてねえだろ、分かるか?
※数字や実績を見れば、自分がトップにいることは一目瞭然だというフレックス。
I'm so Chi' that you thought I was bashful
俺はシカゴ(Chi)っ子すぎて、お前らは俺がシャイ(bashful)だと思っただろ。
※Chi(シカゴ)とShy(内気)を掛けた言葉遊び。
But this bastard's flow will bash your skull
でもこのクソ野郎のフロウは、お前の頭蓋骨をぶち割る(bash)ぜ。
And I will cut your girl like Pastor Tro'
それに、パスター・トロイみたいにお前の女を切り裂く(カットする)からな。
※Pastor Troy=アトランタ出身のラッパー。彼のハードコアなスタイルや楽曲にちなんだ表現。
And I don't usually smoke, but pass the 'dro
俺は普段は吸わないけど、そのハッパ(水耕栽培の大麻=ドロ)を回してくれ。
And I won't give you that money that you askin' for
それと、お前が要求してる金なんて払わねえよ。
Why you think me and Dame cool? We assholes
なんで俺とデイム(デイモン・ダッシュ)が仲良いと思う?俺たちがクソ野郎(アッホール)だからさ。
※Dame Dash=JAY-Zと共にRoc-A-Fellaを創設した大物で、カニエの恩人。傲慢で強気な性格で知られていた。
That's why we hear your music and fast forward
だから俺たちはお前の音楽を聴いても、早送りしちまうんだ。
'Cause we don't wanna hear that weak shit no mo'
あんなダサい曲、これ以上聴きたくねえからな。
[Chorus: Kanye West]
N-now, th-th-throw your motherfuckin' hands
さあ、そのクソ両手を上に挙げな。
Get 'em high
高く挙げろ。
All the girls pass the weed to your motherfuckin' man
女の子たちは全員、隣の野郎にハッパを回しな。
Get 'em high
ハイにさせろ。
Now I ain't never tell you to put down your hands
俺はまだ「手を下ろせ」なんて一言も言ってねえぞ。
Keep 'em high
挙げたままでいな。
And if you're losin' your high, then smoke again
もしハイが冷めてきたなら、もう一回吸いな。
Keep 'em high (Now, now, now, now, now, you've got mail)
ハイなままでいな(ここで「メールを受信しました」の電子音が鳴る)。
[Verse 2: Kanye West, Sumeke Rainey & Talib Kweli]
Now who the hell is this?
おい、一体誰からのメールだ?
Emailing me at 11:26
夜の11時26分にメールしてくるなんて。
Telling me that she thirty-six, twenty-six plus double-D?
スリーサイズは上から36、26で、しかもDDカップだって?
You know how girls on Black Planet be when they get bubbly
ブラック・プラネットの女たちが酔っ払う(バブリーになる)とどうなるか、知ってるだろ。
※Black Planet=90年代〜00年代初頭にかけてアフリカ系アメリカ人の間で大流行した初期のSNS・出会い系サイト。
At NYU but she hail from Kansas
NYU(ニューヨーク大学)に通ってるけど、カンザス出身らしい。
Right now, she just lampin', chillin' on campus
今はただキャンパスでダラダラ(ランピン)してて。
Sent me a picture with her feelin' on Candice
キャンディスって女とイチャついてる写真を送ってきたぞ。
Who said her favorite rapper was the late great Francis
彼女の好きなラッパーは、あの偉大なる故フランシスだってさ。
W-H-I-T, it's getting late, mami
ノトーリアスB.I.G.(クリストファー・ウォレス、別名フランシス・ホワイト)のことだな。もう夜も遅いぜ、マミ。
※Notorious B.I.G.の本名「Christopher George Latore Wallace」だが、別名義のFrank White(映画『キング・オブ・ニューヨーク』の主人公名)をFrancis Whiteともじっている。
Your screen saver say Tweet, so you got to call me
お前のスクリーンセーバーには(R&B歌手の)Tweetが映ってるんだろ、なら俺に電話してこいよ。
※Tweetのヒット曲「Oops (Oh My)」に掛けている。
And bring a friend for my friend, his name Kweli
それと俺のダチの分として、お前の友達も連れてこい。あいつの名前はクウェリだ。
You mean Talib? Lyrics stick to your rib (I mean)
「タリブのこと? 彼のリリックは心(肋骨)に突き刺さるわよね」(いや、だから俺は…)
That's my favorite CD that I play at my crib (I mean)
「家でよく聴いてるお気に入りのCDなのよ」(いや、だから…)
※女性がカニエそっちのけで、コンシャス・ラッパーのTalib Kweliのファンだとアピールし始めるコミカルな会話。
You don't really know him, why is you lyin'?
「あなた、本当は彼のことなんて知らないんでしょ。なんで嘘つくの?」
Yo, Kwe, she don't believe me, please pick up the line
おいクウェリ、この子が俺の言うことを信じねえんだ、頼むから電話に出てくれよ。
She gon' think that I'm lyin', just spit a couple of lines
俺が嘘ついてると思われちまう。ちょっとでいいからラップ(ライン)をかましてくれ。
Then maybe I'll be able to give her dick all the time
そしたら、俺は彼女とヤれる(ずっとディックを与えられる)かもしれないからさ。
And get her high (Yeah), ow
そして彼女をハイにできる(イェア)。
[Verse 3: Talib Kweli & Common]
I can't believe this nigga use my name for pickin' up dimes
信じられねえ、このニガは極上の女(ダイム)をナンパするために俺の名前を使いやがった。
※dime=10点満点中の10点の美女のこと。
But never mind, I need some tracks, you tryin' to pull tracks out
まあいいさ、俺はビートが欲しいし、お前は女の髪(トラック)を引っ張りたい(ヤりたい)んだろ。
※tracks=音楽のトラック(ビート)と、女性の付け毛(ヘア・トラック)を掛けたワードプレイ。
And my rhymes is finna blow, you trying to blow backs out
俺のライムはこれからバズる(ブロウする)し、お前は女の腰(バック)を砕きたい(激しくヤりたい)ってわけだ。
Well, okay, you twisted my arm, I'll assist with the charm
まあ、分かったよ。お前に腕を捻り上げられた(強引に頼まれた)からな、俺の魅力でアシストしてやるよ。
Ayo, ain't you meet that chick at that conference with your moms?
エイヨ、お前その子と、お前の母ちゃんがいたカンファレンスで会ったんじゃないのか?
Her sister the bomb, but she got the bougie behavior
彼女の姉妹は超イケてるけど、ちょっと気取った(ブルジョアな)態度をとるんだよな。
※bougie=bourgeois(ブルジョア)のスラング。お高く止まっていること。
Always got something to say like a OkayPlayer-hater
いつもOkayplayer(掲示板)のヘイターみたいに、文句ばっかり言ってやがる。
※Okayplayer=The RootsのQuestloveが立ち上げた、コンシャス・ヒップホップファンのための巨大オンラインコミュニティ。そこの住人は音楽的評価に厳しい(ヘイターが多い)ことで知られていた。
Anyways, I don't usually fuck with the Internet
とにかく、俺は普段はインターネットなんてやらないし。
Or chicks with birth control stuck to they arm like Nicorette (Keep 'em high)
ニコレットみたいに腕に避妊パッチを貼ってるような女とはヤらねえよ(高く挙げろ)。
You really fuckin' that much or tryna get off cigarettes? (Keep 'em high)
お前、そんなにヤリまくってるのか、それともタバコを辞めようとしてるのか?(高く挙げろ)
If she think it's fly, she ain't met a real nigga yet (No)
もし彼女がこれを「イケてる(フライ)」って思ってるなら、まだ本物の男に出会ってない証拠だ(ノー)。
I apologize if I come off a little inconsiderate
ちょっと配慮に欠ける言い方だったなら謝るけど。
I got the Bubba Kush and her sister could get a hit of it, yeah (Yo, yo)
極上のババ・クッシュ(大麻)を持ってるから、彼女の姉妹にもひと口吸わせてやれるぜ(ヨォ、ヨォ)。
[Verse 4: Common]
Get 'em high like noon or the moon
真昼や月みたいに、高く(ハイに)してやるよ。
Or a room filled with smoke, a hype filled with dope
煙が充満した部屋や、ドープ(麻薬/ヤバいもの)で満たされたハイプみたいにな。
Y'all assumed I was doomed, out of tune
お前らは俺が終わった(ドゥーム)とか、調子外れだ(アウト・オブ・チューン)って決めつけてただろ。
But I still filled the notes with real nigga quotes
でも俺は今でも、本物のニガの言葉(クオート)でノートを埋め尽くしてるぜ。
Real rappers is hard to find like a remote
本物のラッパーは、リモコンみたいに見つけるのが難しい。
Control, rap is out of
ヒップホップはコントロールを失っちまった。
※remote controlとout of controlを跨いでライムする高等テクニック。
Used to, but still got love
昔ほどじゃないが、まだヒップホップへの愛はある。
That's why I abuse you who are not thugs
だからこそ、サグでもないくせにサグぶってるお前らを痛めつけるんだ。
Rock clubs like Tiger Woods in the hood
フッドで、タイガー・ウッズみたいにクラブ(ゴルフクラブ/ナイトクラブ)を揺らすぜ。
Should have my own reality show called "Soul Survivor"
「ソウル・サバイバー」って名前の、俺自身のリアリティ番組を持ってもいいくらいだ。
I stole on live-er niggas than you
お前らよりずっとヤバい(ライヴな)奴らをブチのめしてきたんだ。
※stole on=不意打ちで殴る、圧倒する。
You's a bitch, I got ones that are thicker than you
お前はビッチだ、俺の周りにはお前より中身の詰まった(分厚い)奴らがいる。
How could I ever let your words affect me?
どうしてお前の言葉なんかに、俺が影響されると思うんだ?
They say hip-hop is dead, I'm here to resurrect me
奴らは「ヒップホップは死んだ」って言うが、俺は俺自身(ヒップホップ)を復活させるためにここにいる。
Marks is too sexy to even make songs like these
カモ(マークス)どもはセクシーぶるのに必死で、こんな曲すら作れやしない。
That's why the raw don't know your name, like Alicia Keys
だからストリートの連中(ロウ)は、アリシア・キーズの曲みたいに「お前の名前を知らない(You Don't Know My Name)」のさ。
Too many featured MCs, and producers is popular
フィーチャリングばかりのMCが多すぎるし、プロデューサーばかりが人気になる。
Twelve thousand spins, nobody got to coppin' a
ラジオで1万2千回もスピン(再生)されてるのに、誰もアルバムを。
Album, how come you the hot garbage of
買おうとしない(コップしない)。どうしてお前が「今年の。
The year? It's clear your image is looped up
最もホットなゴミ」なんだ? お前のイメージがループされて(作られて)るのは明らかだ。
※行を跨いだ変則的なライム(エンジャブメント)を多用し、商業的なフェイクラッパーを痛烈に批判している。
Label got you souped up, tellin' you you sick
レーベルがお前をおだて上げて(スープ・アップ)、「お前はヤバい(シックだ)」なんて吹き込んでる。
When you a dick with a loose nut
本当のお前は、ネジ(ナッツ=金玉)が緩んだただのディック(バカ)なのにな。
Video hard to watch like Medusa
お前のミュージックビデオは、メデューサみたいに直視できないくらい酷い。
Even your club record need a booster, chimped up
お前のクラブ・バンガーですら、盛り上げるためのサクラ(ブースター)が必要だろ。
With a pimp cup, illiterate nigga, read the infra-
ピンプ・カップ(派手なグラス)を持った、字も読めないニガめ。お前の頭の。
Red across your head, I'm bred king like Simba
赤外線(インフラ・レッド=スナイパーのレーザー)を読んでみろ。俺はシンバのように王として育てられたんだ。
Bolder than Denver, I ain't a mad rapper
デンバー(ロッキー山脈)の岩(ボルダー)よりも大胆(ボールド)に。俺は怒れるラッパー(マッド・ラッパー)なんかじゃない。
Just a MC with a temper
ただちょっと気性が荒いだけのMCさ。
You dancin' for money like Honey, I did this my way
お前は映画の『ハニー』みたいに金のために踊ってるが、俺は自分のやり方(マイ・ウェイ)を貫いてきた。
So when the industry crash, I survive like Kanye
だから音楽業界が崩壊(クラッシュ)した時も、俺はカニエ(の交通事故)みたいに生き残る(サバイブする)のさ。
Spittin' through wires and fires, MCs retirin'
ワイヤーで顎を固定された状態でも炎の中でもスピットしてやる。他のMCたちは引退していく中にな。
※カニエの交通事故とデビュー曲「Through the Wire」をフリップした、最高のシャウトアウト。
Got your hands up, get them motherfuckers higher, then
手を挙げろ、そのクソ両手をもっと高く挙げな、そしたら。
[Chorus: Kanye West & Common]
N-now, th-th-throw your motherfuckin' hands
さあ、そのクソ両手を上に挙げな。
Get 'em high (Yeah)
高く挙げろ(イェア)。
All the girls pass the weed to your motherfuckin' man
女の子たちは全員、隣の野郎にハッパを回しな。
Get 'em high (Mm-mm, uh-uh, uh)
ハイにさせろ。
Now I ain't never tell you to put down your hands
俺はまだ「手を下ろせ」なんて一言も言ってねえぞ。
Keep 'em high (Keep 'em high, keep 'em high, uh-uh)
挙げたままでいな(挙げたまま、挙げたままで)。
And if you're losin' your high, then smoke again
もしハイが冷めてきたなら、もう一回吸いな。
Keep 'em high
ハイなままでいな。
