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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

We Don’t Care - Kanye West 【和訳・解説】

Artist: Kanye West

Album: The College Dropout

Song Title: We Don’t Care

概要

本作「We Don't Care」は、Kanye Westの歴史的デビューアルバム『The College Dropout』(2004年)の実質的なオープニングを飾る重要曲だ。直前のスキット「Intro」で「子供たちが歌える健全で美しい卒業ソング」を求められたKanyeが、そのアンサーとして提示したのは、貧困層の子供たちが生き残るためにドラッグディールに手を染めざるを得ないという過酷な現実であった。この痛烈なアイロニーこそが本作の最大の魅力である。ソウルフルで明るいビート(Jimmy Castor Bunch「I Just Wanna Stop」をサンプリング)に乗せ、児童合唱団に「何とか生きていくためにクスリを売る」と無邪気に歌わせる手法は、社会的弱者のサバイバル術をリアルかつユーモラスに描く斬新なアプローチだった。制度的貧困、不十分な教育、低賃金労働といった社会問題にメスを入れつつ、周囲の目を気にせずフッドで力強く生き抜く者たちへの強烈な賛歌となっている。

和訳

[Intro]

Oh, yeah
あぁ、そうだ。

I got the perfect song for the kids to sing
ガキどもが歌うのにピッタリな曲を用意したぜ。

And all my people that's
そして、こんな風に生きてる俺の仲間たち全員へ。

[Chorus]

Drug dealin' just to get by
何とか日々を凌ぐためにクスリを売る。
※just to get by=「なんとかやり過ごす、生計を立てる」の意。金持ちになるためではなく、生きるための手段としてのドラッグディールを描いている。

Stack your money 'til it get sky high
空に届くくらい高く札束を積み上げな。

We wasn't s'posed to make it past twenty-five
俺たちは25歳まで生きられないはずだった。
※フッドの若者の死亡率の高さや投獄のリスクを示唆するライン。ストリートの暴力によって若くして命を落とす黒人の現実とリンクしている。

Joke's on you, we still alive
ウケるよな、俺たちはまだ生きてるぜ。

Throw your hands up in the sky and say
空に向かって両手を挙げて叫びな。

"We don't care what people say" (Yeah, yeah, yeah, uh)
「他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ」ってな。

[Verse 1]

If this is your first time hearin' this
もしこれを初めて聴いてるなら。

You are about to experience somethin' so cold, man
お前はこれからマジでヤバい(冷酷な)ものを体験するぜ。
※cold=スラングで「素晴らしい」と「冷酷・厳しい」のダブルミーニング。フッドの厳しい現実と、この曲のヤバさを掛けている。

We never had nothin' handed, took nothin' for granted
俺たちには何も与えられなかったし、それが当たり前だなんて思っちゃいない。

Took nothin' from no man, man, I'm my own man
誰からも何も奪わなかった。俺は俺自身の力でやってきたんだ。

But as a shorty, I looked up to the dope man
でもガキの頃、俺はドラッグの売人に憧れてた。

Only adult man I knew that wasn't broke, man
俺の知る限り、文無しじゃなかった大人はあいつらだけだったからな。

Flicking Starter coats, man—man, you don't know, man
スターターのジャケットを見せびらかしてさ、お前らには分かんねえだろうな。
※Starter coats=90年代のヒップホップファッションで大流行したStarter社のスポーツチームジャケット。当時のフッドのステータスシンボルである。

We don't care what people say
他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ。

This is for my niggas outside all winter
これは冬の間ずっと外でハッスルしてるダチに捧げるぜ。

'Cause this summer, they ain't finna say, "Next summer, I'm finna..."
今年の夏こそ、「来年の夏こそは…」なんて言い訳はさせねえからな。

Sittin' in the hood like community colleges
コミュニティカレッジみたいに、フッドにずっと居座ってる。

This dope money here is Lil' Trey's scholarship
このドラッグで稼いだ金が、リル・トレイの奨学金になるんだ。
※大学に行けない子供たちにとって、ストリートでのハッスルが実質的な「奨学金」代わりになっているという強烈な皮肉。

'Cause ain't no tuition for having no ambition
だって野心がない奴のための学費なんてねえし。

And ain't no loans for sittin' your ass at home
家でケツかいて座ってるだけの奴に貸すローンなんてねえからな。

So we forced to sell crack, rap, and get a job
だから俺たちはクラックを売るか、ラップするか、仕事に就くしかねえんだ。

You gotta do somethin', man, your ass is grown
何かやらなきゃなんねえぞ、お前ももういい大人なんだから。

[Chorus: Kanye West with Choir]

Drug dealin' just to get by
何とか日々を凌ぐためにクスリを売る。

Stack your money 'til it get sky high
空に届くくらい高く札束を積み上げな。

Kids, sing! Kids, sing!
子供たち、歌え!歌うんだ!
※前曲「Intro」での「子供向けの健全な曲」というフリを回収し、児童合唱団にドラッグディールの歌を歌わせるブラックジョークのピークである。

We wasn't s'posed to make it past twenty-five
俺たちは25歳まで生きられないはずだった。

Joke's on you, we still alive
ウケるよな、俺たちはまだ生きてるぜ。

Throw your hands up in the sky and say
空に向かって両手を挙げて叫びな。

"We don't care what people say"
「他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ」ってな。

[Verse 2]

This second verse is for my dogs working nine to five that still hustle
この2バース目は、9時から5時まで働きながら、まだストリートでハッスルしてるダチに捧げる。

'Cause a nigga can't shine off $6.55
だって時給6ドル55セントじゃ、黒人は輝けねえからな。
※当時の最低賃金レベルを指す。真面目に働いても貧困から抜け出せない制度的な問題を指摘している。

And everybody sellin' makeup, Jacob's
みんな化粧品やらジェイコブの時計やらを売りさばいてる。
※Jacob's=ラッパー御用達の高級時計ブランド「Jacob & Co.」。正規で買えないため、偽物や盗品を売買するストリートの様子を描写している。

And bootleg tapes just to get they cake up
金を稼ぐために海賊版のカセットテープも売るんだ。

We put shit on layaway, then come back
取り置き(分割払い)にしてもらって、後から取りに来る。

We claim other people kids on our income tax
他人の子供を自分の扶養家族として確定申告するんだ。
※税金控除を多く受け取るために、フッドで行われる違法なごまかしのテクニックである。

We take that money, cop work, then push packs to get paid
その金を受け取ってクスリを仕入れ、パケをさばいて現金を稼ぐ。
※cop work=「麻薬を仕入れる」。push packs=「小分けの麻薬を売る」の意。

And we don't care what people say
他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ。

Mama say she wanna move South
母ちゃんは南部に引っ越したいって言う。

Scratching lottery tickets, eyes on a new house
新しい家を夢見ながら、宝くじを削ってるんだ。

'Round the same time, Doe ran up in dude house
同じ頃、ドウは奴の家に押し入った。

Couldn't get a job, so since he couldn't get work, he figured he'd take work
仕事に就けなかったから、仕事(金)を得られないなら、奪う(麻薬を奪う)しかないって考えたんだ。
※take work=「仕事を奪う」と「ドラッグ(work)を強奪する」のダブルミーニングである。

The drug game bulimic, it's hard to get weight
ドラッグゲームは過食症みたいだ、重さ(量)を得るのが難しい。
※bulimic=過食症。食べたものを吐いてしまうため体重(weight)が増えないことと、麻薬取引で大量のドラッグ(weight=キロ単位の麻薬)を手に入れることの難しさを掛けた巧みなメタファーである。

So niggas' money is homo, it's hard to get straight
だから黒人の金はホモなんだ、「ストレート」にするのが難しい。
※同性愛者(homo)が異性愛者(straight)ではないことと、汚れた金(dirty money)を合法な金(straight money)に資金洗浄することの難しさを掛けている。当時のヒップホップ特有のワードプレイだが、現在は論争を呼ぶ表現である。

But we gon' keep bakin' 'til the day we get cake
それでも俺たちは、ケーキ(大金)を手にする日まで焼き(コカインを調理し)続けるぜ。
※bakin'(焼く)とcake(ケーキ/大金の隠語)を使った言葉遊び。クラックコカインを製造するプロセスを指している。

And we don't care what people say
他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ。

My niggas—
俺のダチたち—

[Chorus: Kanye West & Choir]

Drug dealin' just to get by (Yeah)
何とか日々を凌ぐためにクスリを売る。

Stack your money 'til it get sky high
空に届くくらい高く札束を積み上げな。

Kids, sing! Kids, sing!
子供たち、歌え!歌うんだ!

We wasn't s'posed to make it past twenty-five
俺たちは25歳まで生きられないはずだった。

Joke's on you, we still alive (Alive)
ウケるよな、俺たちはまだ生きてるぜ。

Throw your hands up in the sky and say (Uh-huh, yeah)
空に向かって両手を挙げて叫びな。

"We don't care what people say" (Yeah, yeah, ugh)
「他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ」ってな。

[Verse 3]

You know the kids gon' act a fool
ガキどもがバカやるのは目に見えてるだろ。

When you stop the programs for after school
放課後の支援プログラムを打ち切っちまったらな。
※政府の予算削減でアフタースクールプログラムが廃止され、行き場を失った子供たちがストリートに溢れて犯罪に走る社会構造を批判している。

And they DCFS, some of 'em dyslexic
あいつらは児童家庭支援局(DCFS)の世話になってて、失読症の奴だっている。
※DCFS=Department of Children and Family Services(児童家庭支援局)。家庭環境が劣悪な子供たちの現状。

They favorite 50 Cent song "12 Questions"
あいつらのお気に入りの50 Centの曲は「12 Questions」さ。
※50 Centの代表曲「21 Questions」の数字を間違えている。失読症(dyslexic)や学習遅延の子供たちをブラックユーモアを交えて表現したライン。

We scream: "Rocks, blows, weed, park," see, now we smart
俺たちは「ロック、コカイン、ハッパ、注射!」って叫ぶ。ほら、俺たちだって賢いだろ。
※ストリートで売るドラッグの種類(Rocks=クラック、Blows=粉末コカイン、Weed=大麻、Park=注射など)の隠語を覚えることにかけては、学校の勉強以上に頭が回るという皮肉。

We ain't retards the way teachers thought
教師たちが思ってるような知恵遅れじゃねえんだよ。

Hold up, hold fast, we make more cash
待てよ、踏ん張れ、俺たちの方がもっと稼いでるぜ。

Now, tell my mama I belong in that slow class
さて、母ちゃんに言ってやりな、俺は「遅れをとってるクラス」がお似合いだってな。
※slow class(特別支援学級)に入れられた自分たちが、皮肉にも教師よりもストリートで素早く金を稼いでいる(fast money)という現状への意趣返し。

It's bad enough we on welfare
生活保護を受けてるだけでもウンザリなのに。

You tryna put me on the school bus with the space for the wheelchair
お前らは車椅子のスペースがあるスクールバスに俺を乗せようとする。
※貧困と障害(または特別支援扱い)のレッテルを貼られ、社会から隔離されるような扱いに対する不満。

I'm tryna get the car with the chromey wheels here
俺はクロームのホイールを履いた車を手に入れようとしてんのに。

You tryna cut our lights out like we don't live here
お前らは俺たちがここに住んでないみたいに、電気を止めようとする。
※公共料金を払えず電気を止められる貧困層のリアルな描写。社会から存在を透明化されている感覚を表している。

Look what was handed us, fathers abandoned us
見ろよ、俺たちに何が与えられたか。親父には見捨てられ。

When we get them hammers, go on, call the ambulance
俺たちがチャカ(銃)を手にした時、さあ、救急車を呼びな。
※hammer=銃のスラング。親が不在でストリートで銃を手にした若者が引き起こす暴力と悲劇の連鎖を示唆している。

Sometimes, I feel no one in this world understands us
時々、この世界の誰も俺たちのことを理解してくれないって感じるんだ。

But we don't care what people say
それでも、他人が何と言おうと知ったこっちゃねえよ。

My niggas—
俺のダチたち—

[Chorus: Kanye West & Choir]

Drug dealin' just to get by
何とか日々を凌ぐためにクスリを売る。

Stack your money 'til it get sky high
空に届くくらい高く札束を積み上げな。

Kids, sing! Kids, sing!
子供たち、歌え!歌うんだ!

We wasn't s'posed to make it past twenty-five
俺たちは25歳まで生きられないはずだった。

Joke's on you, we still alive
ウケるよな、俺たちはまだ生きてるぜ。

Throw your hands up in the sky and say
空に向かって両手を挙げて叫びな。

"We don't care what people say"
「他人が何と言おうと知ったこっちゃねえ」ってな。

 

We Don't Care

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